さては一座の皆様へ、
八尾は河内音頭の本場です。
今日では全国的に愛聴されている河内音頭。
一説によると、河内音頭の発祥地は、八尾市本町に山門を構える常光寺にあると言われています。
常光寺の歴史は古く、奈良時代初期の開創と伝えられ、時の聖武天皇の勅願寺の一つでした。
室町時代に、三代将軍足利義満は、荒廃していた常光寺の伽藍(がらん)を再建。
建築資材の木材は、京の都から淀川、旧大和川を運ばれて、往時の八尾に到着したといいます。
この木材を運ぶ際の人々の掛け声が、木遣歌(きやりうた)となり、やがて念仏踊りと溶け合って、
八尾の流し音頭「流し節正調河内音頭」として、いまも常光寺に伝承されています。
河内音頭の源流と言われる、「流し節正調河内音頭」。
常光寺では、毎年8月23・24日の2日間、この流し節も披露される地蔵盆踊りが催され、夜遅くまで多くの人々の踊りの輪で賑わいます。
平成8年には環境庁の「残したい日本の音風景100選」にも選ばれた常光寺の河内音頭を筆頭に、八尾市では毎年7月~9月にかけて、市内各所で盆踊り大会が開催され、河内音頭の調べとともに、多くの踊り手が集います。
近年ではジャイナ音頭や恩智音頭などの伝承音頭に加え、ジャズやロック、ヒップホップやラテンなど、さまざまにアレンジされ、進化し続けている河内音頭も楽しめます。
伝統と革新が融合する、八尾の庶民文化。いまや河内音頭はカタチにはまらない芸能文化として、世代を繋ぐ絆として、やぐらの周りには幾重にも踊りの輪が広がります。世代を超えて、人と人の心を繋ぐ踊りの輪のこそ、河内音頭に育まれた八尾の精神風土なのかも知れません。